This festival's flame is out for now. Its record stays here — for the day it is lit again.
岩手県奥州市、妙見山黒石寺。寺伝では729年(天平元年)の開創とされ、蘇民祭はその境内で千年以上にわたって営まれてきたと伝えられる。旧暦正月七日の夜から翌朝にかけて、極寒の闇のなかで男たちが水を浴び、火を担ぎ、「蘇民袋」を奪い合う。名は、疫病から人を守ったという蘇民将来の伝承に由来する。
蘇民将来の説話では、旅の神をもてなした貧しい兄が、そのしるしを持つことで疫病を免れる。祭りで奪い合われる蘇民袋には、そのしるしとしての護符が入る。裸で水を浴びるのは身を浄めるためであり、火を担ぐのは闇を退けるためだ。厄を祓うという目的のために、人はわざわざ真冬の夜に、最も無防備な姿になる。
担い手の高齢化と後継者不足により、2024年2月17日の開催をもって、祭りは幕を下ろした。失われたのは一夜の行事ではない。水の浴び方、火の担ぎ方、唱え言葉、袋の縫い方——世代から世代へ手渡されてきた所作のすべてだ。だからこのページは、追悼であると同時に種火でもある。再び灯したいという人が現れたときのために、記録はここに残り続ける。
Movements, sounds, craft and oral testimony, recorded in layers — so the festival can be revived even if living transmission breaks.
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