消えた祭りの記録 ── 黒石寺 蘇民祭
千年以上続いた裸の火祭りは、担い手の不足により幕を下ろした。だが記録は残る。再び灯る日のために。
岩手・黒石寺の蘇民祭は、千年以上にわたって真冬の闇のなかで営まれてきた。裸の男たちが炎と水にまみれ、厄を祓う——その荒々しくも神聖な光景は、二〇二四年、担い手の高齢化と後継者不足のなかで最後の開催を迎えた。
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祭りは消えても、記録は消せない
祭りが途絶えるとき、失われるのは一日の行事ではない。所作、唱え言葉、火の扱い、道具のつくり方——世代から世代へ手渡されてきた「継承知」のすべてだ。だからこそ、消える前に、あるいは消えたあとにでも、記録を残す意味がある。
いつか、もう一度この火を灯したいという人が現れたとき。そのために、私たちは記録をここに残しておく。
この祭りのページは、追悼であると同時に、種火でもある。再び灯る日のために、見守る人がいる。